【動物園日記】


 9月6日。天気晴れ。
 この日、久し振りに東武動物公園へ出かける事となりました。動物園に行くのは今回で4回目。最後に行ったのが6月ですので、本当に久しぶりの訪問となります。
 今回の外出は前日の夜に何故か急に思い立ったのですが、後から考えると、虫の知らせのようなものだったのかもしれません。

 さて、そんなわけで早起きをしていつものように車でトコトコと動物園へ。

 今日はタダオはどんな仕草をしてくれるだろう。
 相変わらずご飯を食べまくっているのかな?

 なんてウキウキと考えながらタダオのところへ直行致しました。
 しかしそこにタダオの姿はなく代わりにこんな札がぶら下がっておりました。



『バイソンタダオは、心臓の病気の為、7月10日に亡くなりました。』



 これを見た途端、私は言葉を失ってしまいました。
 バイソンがどれぐらい生きる動物かは分かりませんが、16歳といえば結構な年でしょう。お年寄りなんだろうなとは思っておりましたが、まさかこんなに急にいなくなってしまうとは考えてもいませんでした。
 もちろんタダオ君は私が飼っていた動物でもなく、見に来たのも4回だけで毎日顔を合わせていたわけでもありません。それでも私の中では本当に大きな存在となっていたようで、大変なショックを受け、涙を流すまでには至らなかったものの、頭が真っ白になって全身の力が抜けて行くのを感じました。
 尤も私は飼っていたうさぎが死んだ時はおろか、父が亡くなった時でさえ涙が出なかった程の冷血人間(←これには相当の自己嫌悪をひきずっている)ですから、タダオ君の死に泣けないのも当然か・・・。

 こんな事ならもっとたくさん会いに来ればよかった・・・。
 もっとたくさんのちゃんとした写真を撮っておけばよかった・・・。

 そんな後悔が浮かんでくるものの、もう時を戻す事は出来ず・・・後悔先に立たずとはまさにこのような事を言うのかもしれません。


 この日は暑かった所為か皆プールの方へと直行してしまったようで(ここにはプールもある)、動物園のお客さんはまばら。その中でもバイソンを見に来るような物好きはおらず通り過ぎて行く人ばかりで、柵の前は私達だけでした。
 誰も見てくれる人もなく、タダオ君もいない・・・。
 なんだか隣のスミレちゃんがひどく寂しそうに映ったのは気のせいでしょうか。

 大丈夫。また会いに来るからね。
 だからスミレちゃん、タダオ君の分まで長生きしてね。



 てなわけで唯一つの心の安らぎを失ってしまった私・・・。
 他の動物達を見て回るも、どれもつまらなく見えてしまい(←ものすごく失礼な奴)、そうそうに引き上げる事に。
 あまりに帰る時間が早かった所為か、出る時に園の人に、
「もうお帰りですか?」
 なんて声をかけられてしまいました。(汗)

 す、すみませんです。
 だって、タダオ君がいない動物園なんて・・・。
 でもまた来ますよ。今度はスミレちゃんに会いにね。


 今回の動物園訪問は全く楽しめませんでした・・・。
 残ったのは疲労感のみという始末。
 その日の私は一日中、ただただ、タダオ君の事だけを考えていたような気がします。


−おわり− 


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